今日6月19日の『世界まる見え』で放送される、ピサの斜塔修復の話。
イタリアの世界遺産である「ピサの斜塔」は、あまりにも有名すぎる建物で、教科書の写真や観光写真など、みなさんも一度はその姿をご覧になっているかと思います。
外観も美しいピサの斜塔
でもピサの斜塔って、「そもそも何のために建てられたの?」「なぜ傾いているの?」と疑問に思いますよね。
また、傾斜が増して倒壊する恐れはないの?とイタリア人でもないのに、変な心配をしてしまいます。
みなさんも思っているその心配のとおり、ピサの斜塔は過去に「このままでは倒壊する恐れがある」と指摘され修復作業が行われました。そこで今回は、ピサの斜塔についてその歴史や修復作業、今後の倒壊する恐れはないのか?などについて見ていきたいと思います。
ピサの斜塔は何のために建てられた?
ピサの斜塔は、大聖堂ドゥオーモの付属鐘楼として1173年から199年の年月をかけて建築された建物です。鐘楼というように、教会での鐘を鳴らす建物ですね。
左が大聖堂ドゥオーモ
ピサの斜塔内の鐘
設計者は、ボナンノ・ピサーノ、ジェラルド・ダ・ピサ、ディオティサルヴィなど複数の建築家がたずさわりました。
当初は、今の2倍の高さの建物が計画されていましたが、地盤の傾斜で今の高さ(55.86m)へと変更されます。
なぜ傾いているの?
ピサの斜塔が傾いているのは、この塔を建設していた地盤が柔らかく、地盤沈下が原因とされています。
しかし、地盤地下からくるその傾きは止まらず、
当時の地質調査の技術というのが、今ほど発達していなくても、「なぜこんな柔らかい地盤の上に建てたのか?」と不思議に思います。建築の第一段階で、すでに塔が傾いているのが分かったら、そこは中止にして大聖堂の近くの別の場所に建てることはできなかったのでしょうか?
すでに多くの資金と人材を投入していたために、場所の変更ができなかったのでしょうかね。
それとも宗教上の方角から、鐘楼の位置を変えられなかったのでしょうか。
倒壊危機
傾斜がひどくなると塔として、倒壊の恐れも出てくるので、1935年には地下水でさらなる地盤沈下を防ぐため薬液を注入して地下水の侵入を防ぐ措置がとられました。
しかし、薬液を注入した結果さらなる地盤沈下を起こし、塔の傾きが大きくなる結果になってしまうことに。
1960年代には現地の地下水のくみ上げによって、さらなる塔の傾斜が進み、ついにイタリア政府はピサの斜塔の崩壊を回避するための支援を求めました。
1990年には「このままでは倒壊する恐れがある」と危惧され、ついに公開中止。
修復のために観光客などの一般公開が閉鎖され、召集された国際検討委員会により観光客に気づかれない範囲で傾きを戻して恒久的安定を確保するということが決まりました。
ピサの斜塔の修復作業
引用:https://www.jiji.com/jc/d4?p=inp704-jlp00572604&d=d4_museum
当初この工事はうまくいかず、何度も試行錯誤を重ねた結果、塔は南側に傾いているので北側の地盤を掘り削ることになり、2001年まで工事が行われました。
同年の6月16日に、10年にわたる工事が終わり一般公開が再開されます。
いつまでもつの?
2008年にピサの斜塔を監視担当するミケレ・ジャミオルコウスキ教授によると、少なくとも今後300年は倒れる危険がないとの見解が示されています。
だいぶ先ですが、今から約280年後にはまた「倒壊の危機」が言われるということでしょうか。
現在の技術をもってしても、角度を垂直に戻すことは難しいと言われているようです。
しかし、技術が発展していけば、傾斜を完全にゼロにする時がきそうですね。でも、それでは「ピサの斜塔」じゃないじゃん。
でも、傾斜を直しても、塔の一番上が今度は傾くので、一応「ピサの斜塔」になるのか。
うーん。このジレンマ、イタリアの人はどう考えているのでしょうか?
とにかく、修復工事もあって塔の完成後、一度も倒壊することなく傾斜約4度の絶妙なバランスで立っているということが驚きであり、ピサの斜塔は私たちが生きている間に倒壊の恐れはなく、今の傾斜した状態の塔を見れるので、一度この目で見てみたいですね。
引用:https://www.travel-zentech.jp/world/map/italy/Map-Pisa-link.htm
ピサの斜塔までのアクセスや見学については、以下を参考にしてください。
参考:https://www.jtb.co.jp/kaigai_guide/western_europe/republic_of_italy/PSA/101521/index.html
*アクセス情報が見やすく掲載されていたので、リンクを張っており、JTB宣伝の意図はありません。また、現地に行く際は最新情報にアクセスしていただくようお願いします。
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