エリート銀行員は、なぜ殺人事件を起こしたのか?犯人やその家族の現在は?

殺人事件
岡藤輝光

今日6月13日の『ザ!世界仰天ニュース』で紹介される

富士銀行行員顧客殺人事件とは、1998年7月2日に埼玉県南埼玉郡宮代町で、銀行員が顧客を殺害した事件として注目されました。

犯人は、当時の富士銀行春日部支店に勤めていた岡藤輝光(当時31歳)で、被害者はマッサージ店を営む福田次郎さん(当時74歳)と妻・ツネさん(当時67歳)でした。

なぜ顧客殺害にいたったのか?

事件前年の1997年、バブル崩壊おおりで銀行の貸し渋りが広まっており、銀行員の岡藤は、ある運送業者からたびたび融資を求められていました

しかし、その運送業者は融資基準を満たしておらず、融資をしなければ倒産してしまう恐れがあっても、「申し訳ないが融資はできない」と対応することが本来の行動だったはずです。

しかし、岡藤は倒産寸前の運送会社に勤めていた父親の苦労を見ており、何度も融資を懇願する社長に泣きつかれ、断り切れなかったということです。

バブル全盛期による採用枠の大幅拡大で、地方私大の出身である岡藤も、銀行員というエリートの道が開け、入行後約10年、真面目に働いていた矢先のできごとでした。

ちなみに、岡藤が入行した富士銀行は、1989年に発表された世界時価総額ランキングではNTT、日本興業銀行、住友銀行に次いで世界第4位の銀行であり、当時その銀行員は他の銀行員と比べても、エリート中のエリートと言えたでしょう。

被害者となった老夫婦は、岡藤が担当する顧客であり、日頃から懇意にしたこともあり定期預金の運用を岡藤に任せていました。その額は5000万円で、福田さんが持っていた土地がバブルによって予想外に値段が上昇した結果でした。このお金は夫婦の老後の生活資金にする予定だったとのこと。

しかし、その信頼を裏切るかたちで、岡藤はこの老夫婦から預かっていた預金に手を出し、「浮き貸し」で泣きつかれた運送会社に融資をしてしまいます。

*浮き貸し:金融機関の役職員が自分または第三者の利益をはかるために、その地位を利  用して職務上保管している金銭を不正に貸し出す行為。

引用:https://kotobank/word

ところが、ほどなくしてその運送会社が倒産、資金回収の当てが全くなくなり、2500万円の負債を負ってしまうことに。

情を感じることは、本来悪いことではないはずですが、そのために取った不正な行動が、徐々に彼を追い詰めていきます。

不正融資の発覚を恐れた岡藤は、ついに老夫婦の殺害を決意

事件当日、被害者の家にあがりこみ、福田さんの妻・ツネさんに「転勤が決まったので、最後の親孝行のつもりで肩をもませてもらえませんか」と背後に立ち、用意していたヒモで絞殺

夫の次郎さんは全盲だったので、異変を感じ取ったものの、状況が分からなかったそうです。

岡藤は、口封じのため次郎さんも同じ手口で殺害しました

犯人は逃走の際に、証拠隠滅のため放火しようとしましたが失敗。強盗に見せかけるため室内を荒らしていきました。信頼していた銀行員に、最終的にこんなかたちで裏切られた被害者の無念は余りあるものがあります。

犯人やその家族の現在は?

1998年7月4日朝、被害者の遺体が発見され、埼玉県警の捜査の結果、岡藤が犯行を自供し逮捕されます。

人を2人以上を殺すと、日本では死刑になる可能性が高くなりますが

裁判で岡藤の犯行は

債務を免れる意図について、利欲性はそれほど高いのものではなく、一攫千金を狙った強盗殺人の事案と同列に扱えない
犯行は計画的であったが周到ではなく、ためらいも感じていた。
犯人が勤務していた銀行が遺族に相当高額の金品を払う調停が成立している

などとされ無期懲役となりました。

犯人のその後と、家族はどうなった?

岡藤は現在も服役しており、事件前に妻と子供(1人は事件前、もう1人は事件後生まれた)がいましたが、現在子どもは2人とも独立しているとのことです。

妻については離婚説・離婚していない説の両方があるようです。

逮捕後の岡藤が妻に

死刑判決も受け入れます
俺が刑務所に入るようなことになったらどうする?やっぱり離婚だろうか
と言っているのですが、ここからは確定的なことは分かりません。
まあ、多くの場合、離婚ということになるのでしょうが、死刑判決を覚悟した被告が、無期懲役判決など、死刑を免れたときから約7割の受刑者が生きたいという気持ちが強くなるようですし、ハッキリ妻が離婚や離婚届を出さない限り、恩赦を待ち続けるということも考られるので、この発言だけで断定はできないでしょう。
犯人の家族とその後について、現在詳しいことは不明です。

まとめ

情にほだされ、顧客であった老夫婦のお金を無断で浮き貸しするという不正を働いた挙句、それが発覚することを恐れての殺人。
運送会社の社長に泣きつかれたからと言って、不正融資はいけないですし、それを見て見ぬ振りができなかったのであれば、なぜ銀行員として融資基準を満たすための合法的なアドバイスを提示できなかったのか?
たとえ「浮き貸し」という不正をしてしまっても、殺人犯になるくらいなら、なぜ本当のことを言って、自分を信頼してくれていた老夫婦に謝ることができなかったのか?
職を失い、社会的信用を失い、家族をも失ったとしても、殺人犯として死刑またはいつ出られるか分からない刑に服するよりは、遥かにマシでしょう。
銀行員という社会的信用の高い職業についている人間なら、こういうことを天秤にかけるとは言いませんが、もう少し冷静に思案すれば防げた事件だと考えられます。
事件前の犯人の人柄や真面目さという点を考えると、被害者の無念はもちろんですが、とても残念でならない事件だと感じました。

 

 

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