相次ぐトラブルから自主返納が増えているマイナンバーカード。
しかし、「マイナンバーカードって持つと何ができるの?」と、その制度自体をよく知らない人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、今さら聞けない「マイナンバーカードってそもそも何?」「申請や返納方法はどう行えばいいの?」「カードを持つメリット・デメリット」について調べてみました。
マイナンバーカードとは?
マインバーカードとは、12桁の個人番号(マイナンバー)が記載された顔写真付きのカードです。このカードにはICチップが付いており、本人確認のための身分証になるほか、市町村など自治体サービス、電子申請書などの交付やコンビニ交付サービスなど多くのサービスに利用できます。
- 1枚であらゆる身分証として利用できる
- コンビニで住民票の写しなどを取得できる
- 転出届や確定申告などのオンライン手続きができる
- ワクチン接種証明書などの取得ができる
- 健康保険証として使える
- 証券口座開設など民間のオンラインサービスにも利用できる
すでに紙のマイナンバーは日本の全国民に配布されていますが、それは個人の保管用のものであり、身分証や各サービスに利用できるものではありません。
現政府は、2024年秋に健康保険証を廃止して「マイナンバー保険証」に一本化し、マイナンバーの年金受給口座との紐づけを進めています。また、同年秋の運用を目指して運転免許証との一本化の準備も進められているとのことです。
なお、健康保険証は予定通り進んでも、現在の保険証も廃止後1年間は使えますし、廃止後にマイナンバーカードを持たない人には「資格確認証」を発行し、有効期限を最長1年とし更新可能となっています。
マイナンバーカードの申請方法
申請は3通りです
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パソコンやスマートフォンからのオンライン申請
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郵便による申請
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町にある証明写真機からの申請
詳しくは以下をご覧ください。
なお、カード取得で最大2万円のポイントがもらえるマイナポイント第1弾は終了しましたが、現在マイナポイントの第2弾が行われており、ポイント付与の申込期限は2023年9月末とのことです。

マイナンバーカードの返納方法
マイナンバーカードを取得したけど、あまり利用しないなど、カードが不要になった場合は、お住まいの市町村窓口にカードを持参して返納手続きを行うことで返納できます。
【本人が行う場合に必要なモノ】
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返納するマイナンバーカード
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返納届(市町村窓口で交付される)
*有効期限が切れているマイナンバーカードの返納の場合、本人確認書類も必要。
本人以外の法定代理人や任意代理人が返納手続きを行う場合は、それぞれの本人確認書類や委任状が必要となってきます。
返納手続き例:兵庫県西宮市
https://www.nishi.or.jp/kurashi/shakaihosho/mynumber_pro/0979638202306291.html
あくまで返納方法の一例ですので、返納方法については、お住まいの自治体ホームページなどでご確認ください。
なお、返納の際はマイナポータルから口座情報や履歴の削除、利用者登録の削除をしてからカードを返納しましょう。口座情報や利用規約への同意は、カードを返納しただけでは消えず、先にカードを返納してしまうと、マイナポータルも開けなくなってしまうので注意しましょう。
カードのメリット・デメリット
マイナンバーカードを持つことで、保険証や免許証などをそのつど個別に提示する必要がなくなり、行政サービスを一元的に受けられるようになります。
例えば就職、転職、出産育児、病気、年金受給、支援金や補助金などの公金受け取りも、そのつど個別に本人確認書類などの必要がなくなり、マインバーカード一枚で本人確認ができるようになる点がメリットと言えるでしょう。
煩雑な手続きが無くなり、また身分証としてもこのカード一枚で使える点も大きなメリットと言えます。
マイナンバーカードを所有し持ち歩くことで、紛失や盗難のリスクが生じます。さらに紛失や盗難した際には、紐付けた口座情報など多くの個人情報などが詰まっているため、悪用される可能性が高まります。
マイナンバー自体他人に知られても個人情報を調べたり、手続きができず、またカードに搭載されいるICチップには、税金や健康診断結果、薬剤情報などのプライバシー性の高い情報は記録されないとのことですが、ハッキングなど不正な方法によって調べられる可能性はあるでしょう。
今年の5月に誤って他人の個人情報に紐付けられたことが発覚したり、先月には誤って他人の情報に紐付けられたため薬の処方を間違うなど、ともすれば命にかかわるような大きなミスが起きており、制度設計や運用側の問題も噴出しています。
また、カードICチップの読み取りに必要な数字4桁のパスワードは一定期間間違えるとロックがかかるというセキュリティがある反面、特に高齢者の方など本人がパスワードを忘れてしまって一定期間間違えたら、自治体に直接出向いてロックの解除をしなければならないという面倒なことになります。
それに病気で寝たきりの人は、どうやってロックの解除をするのでしょうか。代理人が代わりに行うということになるでしょうが、代理人確認証など、保険証確認にはないかえって煩雑な手続きが必要になりそうです。
*新たに暗証番号不要のマイナンバーカードの交付を2023年11月に開始するとしましたが、用途を保険証だけに制限し、顔認証や病院職員の目視確認により、資格を確認するとのことです。これなら従来の健康保険証と何ら変わらず、マイナンバーカードでなければならない理由がないように思われます。
さらにマイナンバーカードは有効期限があるため、更新手続きが必要です。
健康保険証は更新時カードが郵送されてくるので、更新手続きは必要ありません。この点、健康保険証よりも面倒になります。
今現在、カードの取得はあくまで任意
現在、政府はマイナンバー利用促進拡大のために、マイナポイントを進呈をはじめ健康保険証や運転免許証などの一体化を進めていますが、あくまで取得するかどうかは、義務ではなく任意です。
メリットとデメリットをよく考えて、便利さというメリットの方が大きいと判断できれば取得するようにしましょう。今現在義務ではないので、よく考えて取得することをお勧めします。
まとめ
マイナンバーカードは就職、結婚、転職、病気のさいの本人確認など面倒な手続きが必要なく、カード一枚で身分証に使えたり、コンビニのサービスなどの利用にもつながるなど、便利なシステムと言えるでしょう。
しかし、情報漏れのリスクや他人の情報への紐付けなど、運用側のミスなどで多くの人が不安を抱く事態も起きています。
また個人的に気になることでは、利用拡大を促進している現在の政府や、健康保険証を廃止して、マイナンバーカードとの一体化する改正法に賛成した自民党、公明党、日本維新の会、国民民主党などの政党の議員の人たちのカード取得率を知りたいところです。
利用を促進する立場の人が、それだけ便利なカードならば、おそらく100%に近い人がカードを取得しているのでしょう。
先日、あるメディアで全衆院議員に「マイナンバーカードを持っているか?」と、アンケートを取ったところ、回答した議員の取得率は89.3%と、国民の取得率77.3%(現保有率は70.4%)を上回り、確かに推進している政党の議員の多くが取得しているように見えます。
しかし、取得した議員の3割近くが保険証や口座と紐付けておらず、推進派の自民党、公明党、日本維新の会、国民民主党の各党の議員が、そのうち56.3%を占めています。
それに、このアンケートに回答拒否をしている人が、なんと推進の一番大元である岸田首相や河野デジタル大臣であり、回答拒否ということは「自分はカードを持っていない」と示しているようなものです。
河野大臣は後にツイッターで取得していると言いましたが、取得しているなら、なぜメディアのアンケートに「取得している」と答えなかったのでしょうか。
国民には取得を促しておきながら、首相や担当大臣が自らは取得していない、あるいは取得したがらないカードを推進しても説得力に欠けるでしょう。
個人的にも、推進をしている大元の人が取得していないカードは、「本当に大丈夫なのかな?」と思ってしまいます。
またケチをつけるようですが、マイナンバーカード取得の公式サイトでは、このカードのメリットばかりが並び、デメリットについて何も書かれていないことも気になります。
物事には必ずメリット・デメリットの両方があるので、あまりメリットばかりを強調しすぎると、詐欺ではないですがデメリットの方を疑ってしまいます。
いずれにせよ、カードの取得はあくまで任意なので、まだ取得していない人は今急いで申請する必要もなさそうです。
また一度返納しても、1000円でカードの再取得もできるので、マイナンバーカード取得を促進する立場の人は「手放すなんて恥ずかしい。デメリットばかりだ」と言っていますが、メリット・デメリットを見てくると、カードを持たない、あるいは返納するのがデメリットばかりとも言えないようです
今後、「政府のシステム点検がきちんとできているのか?」「用途を拡大してあらゆる個人情報や口座情報に紐付けて、国民監視のためのシステムにならないか?」などを見極めてから取得しても遅くはないように思われます。
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