角ばった外観にグリップから突き出たロングマガジン、『沈黙の戦艦』や『あぶない刑事』などのアクション映画で、特殊部隊からテロリストにまで使用され、その銃名を知らない人でも一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。
M11A1は、かつての製造会社の名前をとって「MAC11」、または設計者のゴードン・イングラムの名をとって「イングラム」と呼ばれることもあり、現在でも製造本家アメリカのユーザーから親しまれています。
今回は、この銃をガスブローバック・ガンとしてリアルに再現したKSC製のM11A1 HW(ヘヴィウエイト)について見ていきたいと思います。
M11A1の系譜
第2次世界大戦でアメリカ陸軍へ入隊し、従軍したゴードン・イングラムは、自軍のM3グリースガン短機関銃を見て、「自分ならもっと良い短機関銃を作れる」と考え、銃器設計の世界に興味を持ち始めます。
M3グリースガン
引用元:https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=9389333
彼は戦後、在籍した会社で短機関銃の設計にとりかかり、M5~M9短機関銃を製作しました。
イングラムM6
引用元: https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=598908
その後、1964年にM10と名付けた革新的な新型短機関銃の設計を行います。これは彼が手掛けたM9までの短機関銃とは異なる、製造のしやすさを重視した設計で、第三世界向けに販売を想定したモデルでした。
サプレッサーを装着した実銃のイングラムM10
引用元:https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=3954215
このM10短機関銃を小型化したモデルとしてM11が設計され、1970年にはイングラムと彼が在籍していた会社のオーナーであるミッチェル・ウェルベ三世が共同創業者となり、MAC(Military Armament Company)社が設立され、そこでM11が製造されました。
実銃のイングラムM11
引用元: https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=3917328
しかし、MAC社はその後倒産、MAC社の元従業員らによりRPBインダストリーズ社が設立され、M10およびM11の製造を引き継ぐも、1982年にはその会社も倒産してしまいます。
その後、旧MAC社の技師だった人物により、M10の製造権が購入され再びMACの名を冠したメーカーを立ち上げたものの、またまたその会社も倒産。
こうして、M11を製造する会社は三度も倒産するという憂き目に。
しかし、M11は他に類を見ない高速連射やその性能の高さにより、いくつかの企業でコピー生産やクローン設計が行われ、現在でも製造されています。
KSC M11A1の外観
トイガンでは、東京マルイやマルゼンなど、いくつかのエアガン・メーカーがこのM11を販売していますが、中でもKSCから販売されているM11A1 HWガスブローバック・ガンは、実銃をもとに外観から忠実に再現されており、この外観自体でモデルガンのように眺めて楽しむこともできます。
KSC M11A1のパッケージ
【KSC】M11A1 HW(ヘヴィウエイト)ガスブロの左側面
引用元:https://ksc-guns.co.jp/gas/submachinegun/m11a1_series.html
銃本体の刻印やストックのスネーク模様も実銃を忠実に再現されており、さらにヘヴィウエイト樹脂というプラスチック樹脂に金属粉を混ぜて成型したフレームやレシーバーにより、実銃に近い重量と金属感が見事に再現されています。銃本体も触ると多少の金属の冷たさを感じてリアルですね。
銃のフレーム後部のスネーク模様や、RPBインダストリーズ社で製造されていた時の刻印が再現されている
引用元:https://ksc-guns.co.jp/gas/submachinegun/m11a1_series.html
また、ストックの伸縮や、ボルトハンドルを90度回すとロックがかかるなど、銃の各部は実銃同様に作動します。
ストック展開時に、フロントストラップを装着すれば、腰だめでの射撃も可能
引用元:https://ksc-guns.co.jp/gas/submachinegun/m11a1_series.html
初期不良や可動部の動きは要チェック
国内のエアガン・メーカーのものであれば初期不良はほとんどないのでしょうが、たまたま今回扱ったM11A1は、マガジンにガスを満タンに注入しても、1マガジン目の20~30発前後でガスが切れてしまうというトラブルがありました。
さらにセイフティがかなり硬くて動きが悪いなど、まれに銃の個体によっては初期不良がないこともないので、購入後の各部のチェックや動作確認をお勧めします。
また、このM11A1ガスブローバックは、ガスガンの操作性ゆえに実銃にはないホールドオープン機能があり、弾を撃ち切るとボルトストップがかかる仕組みになっています。
そこでホールドオープンのままマガジンを抜くことを繰り返すとチャンバーが変形し、弾がなくなっても射撃状態が続いてしまうので、説明書に書いてある通り、必ずボルトをフルコックにしてからマガジンを抜くようにしましょう。
私もホールドオープンのままマガジンを抜くことを数回繰り返したら、チャンバーが変形してホールドオープンしなくなってしまいました。
しかし、それら初期不良と誤操作による故障で、KSCのアフターサービスに修理を依頼したら、こちらからの送料のみが有料で、5日ほどで修理費・返送料とも無償で完了され、見違えるほど動作が改善していました。おまけに予備のBB弾(約100発)も入っていてKSCのアフターサービスはしっかりしているなと好印象を持ったほどです。
エアガンもそのメーカーが迅速・丁寧な対応をとるかは、こういうアフターサービスがきちんとしているかで見るのもよいかもしれません。
毎分1200発という実銃のサイクルを完全再現
KSC製のM11A1ガスブローバック・ガンの最大の魅力は、毎分1200発という実銃の発射サイクルを完全に再現しており、フルオート射撃で秒間20発以上のBB弾発射が可能です。
撃ったときの反動であるリコイル・ショックは小さいものの、フルオート射撃で付属の50連マガジンを2秒弱で撃ち切る体感は、ただただ爽快以外の何ものでもありません。
ただ、そのぶんBB弾をかなりバラまくので、室内で撃つ場合は、後ろにクッションを置いてシューティングボックスなどを活用することをお勧めします。
別売りのフロントストラップ装着で、射撃の安定性
このM11A1は、その外観やサブマシンガンとしては小型なゆえ、グリップを片手・両手で握っての射撃は少し不安定かもしれません。
そこで別売りのM11A1用のフロントストラップを前方のハンガーに装着して握ることで、フォアグリップを握った時と同様の射撃の安定性を得ることができます。
KSCのM11A1ガスブローバック・ガンは、リコイルショックが小さいため射撃時に実銃のようなハネ上がりはありませんが、それでもフロントストラップを装着すると、撃つときの銃のブレはかなり抑えられるのでお勧めです。
おわりに
外観・射撃性能とくに実銃の発射サイクルを完全再現したKSCのM11A1 HWガスブローバック・ガン。実銃同様に操作や射撃に多少の習熟は必要なものの、それを踏まえて扱えば、高速連射で一斉射する爽快感はたまらないものがあります。
自宅でシューティングボックスなどを活用したお座敷シューターもよし、サバゲーで特殊部隊やテロリスト気分で敵を倒すもよし。セミオート・フルオート射撃とうまく使い分ければ近接戦では万能な、この【KSC】M11A1 HWでスポーツシューティングを楽しんでみてはいかがでしょうか。
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