登山やキャンプなどの季節になり、山に出かける計画を立てている人も多いかと思います。
しかし、毎年のようにクマに遭遇し襲われたり、最悪の場合、大怪我や死亡事故に至ってしまうという事例が後を絶ちません。クマはその一撃で人間を死に至らしめる力を持っており、何も準備をしないで山に入ることは危険です。
ですが、事前に準備をして心がまえを持っておけば、冷静に対処でき、多くの場合、クマに襲われることもなくやり過ごすことができます。
登山やキャンプをより楽しむためにも、クマの習性を知って準備をし、いざというときにパニックに陥ることなく冷静に対処できるように、対策をしておきましょう。
走って逃げない
クマに遭遇した時に、一番してはいけないことは、走って逃げることです。クマは動くものを追う習性があり、時速40キロで走ることができるので、人間の足で振り切ることはできません。
クマなどを突然見かけると、思わず走ってしまいそうですが、クマは平地でなくとも意外と俊敏で、穴掘りや木登りも得意なので、その辺に隠れようとしたり、木に登って逃げようとすることも避けましょう。
山に入れば、クマに遭遇する可能性があると考える
クマの生息地を日本全国で見てみると、約40%を占める地域で生息しています。北海道から本州にかけて、多くは山中に集中しており、山の中に入ることは、クマの生息地域に入ることだと認識して入りましょう。
「それでは登山やキャンプも安心してできないよ」となりそうですが、事前にクマの生息地域にお邪魔すると認識しておけば、クマに遭遇した時にも冷静に対処でき、より安心・安全な登山やキャンプを楽しむことができます。
遠くで見つけた場合の対処
50メートル以上離れたところでクマを見つけた場合は、クマがこちらに向かって突進して来ることは、ほぼないので、クマに背を向けずに後ずさりするような形で距離をあけ、クマが見えなくなるところまで移動します。
このとき、決して大きな声や音を出さずにしましょう。クマは臆病な生き物で、人間を危険な生き物だと思っている可能性が高いので、ここで大きな音を出してクマを刺激してしまうと、クマの防衛攻撃にあってしまう可能性があります。
静かに後ずさりしながら距離を開けて、クマが見えなくなるまで背を向けずに移動しましょう。
近くで見つけた場合の対処
20メートル以内の近距離でクマに遭遇した場合は、クマから目をそらさずに後ずさりして距離を開けましょう。このとき遠くで見つけた場合同様に、大きな声や音は出さずにクマとの距離を開けます。
とくに近距離でクマが威嚇するような状態で、徐々に人間に近づいてきたり、鼻をヒクヒクさせながら、人間を観察している行動をとっているときは、観察段階と言って、この後逃げた方がいいのか、襲う方がいいのかという野生本能を働かせている状態になります。
このときも後ずさりしながら、スプレーを持っている場合はスプレーの準備をして、持っていない場合は、その辺に落ちている石や木の棒を持って、いつでも投げつけられるようにしておきます。しかし、決して自分から威嚇や攻撃をしないように、ゆっくり距離を取りましょう。
後ずさりしている最中に、木立がある場合は自分とクマの間に介するようなかたちにして距離を取ります。
もしクマが走ってきて自分近づいてきた場合、スプレーはクマが5メートル以内に来た時に噴射します。
クマが突進してきた場合の対処
クマが突進してきて逃げ切れない状態の場合は、スプレーを噴射する行動をとります。
スプレーがない場合は、岩や土手などに登って自分の体を大きく見せ、大きな声を出してクマを威嚇します。こうすることで、クマが我に返り逃げる可能性が高くなります。
山に入るときの事前の準備
登山やキャンプなど、山に入るときは「クマの生息地に入ること」だと認識して、事前の準備をしておきましょう。
まずは「人間が近くに来ている」ということを知らせるために、鈴やラジオを携帯して音を出し、クマに知らせるようにしましょう。人間がいると分かればクマの方から立ち去ります。
また、クマよけスプレーを用意して、いつでも取り出せるように腰などに携帯しておくとよいでしょう。クマよけスプレーは、ホームセンターやAmazonなどの通販で購入できます。
登山やキャンプの際に気を付けること
登山やキャンプでは、食料を山の中に捨てたり、とくに匂いの強いものを捨てることは絶対にやめましょう。クマに限らず動物が近づいてきて、襲われるきっかけを作ってしまいます。
食料や匂いの強いものは、食べ終わったり用が済んだら、すぐにしまうようにしましょう。
事前の心構えを持つ
山に入るときは、クマに遭遇する可能性があると考えて準備することを見てきましたが、さらに山に入る前は、頭の中ででもよいのでクマに遭遇した時のシミュレーションをしてもいいかもしれません。
こうして、クマに遭遇した時に備え、事前にその対処方法を頭の中で考えておくだけでも、いざということにパニックにならずに冷静に行動できる可能性が高くなります。
こうして必要な準備や心がまえを持って、登山やキャンプを楽しみたいものですね。
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