自民党の女性局38人によるフランス研修が大きな批判を浴びています。特に、パリのエッフェル塔の前でポーズをした写真がSNSに投稿されると、「研修という名のフランス旅行」「38人も行く必要があったのか?」「研修ならオンラインでもできる!」などの声が上がりました。
これらを受けて、写真に写った松川るい議員は「真面目な研修に参加された皆様にまで、ご迷惑がかかるとしたら、本意ではありませんので、削除させていただきました」とSNSでコメントしました。
このコメントを見ると、「研修自体は問題ないが、外からワーワー文句を言う人たちがいて、それで一緒に行った人にまで迷惑がかかるから、写真を削除した」と言っており、「私たちは悪くはないが、誤解して文句を言っている国民のせいで写真の削除に追い込まれた」ということなのでしょうか。
では、このフランス研修とはどういうもので、この批判が研修に参加した当事者の言う通りの「誤解なのか?」を見ていきたいと思います。
女性局5年に1回の海外研修
自民党の女性局では、5年に1回ほど海外での研修を行う恒例になっており、今回はフランスでした。
引用元:https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/635042?display=1
7月下旬に3泊5日の日程で、目的は少子化対策、政治における女性の活躍にかんする視察・意見交換をしたということです。
フランス研修での国会議員の自己負担は、1人あたり30万円で、精算時に上回った分を党が負担しています。自民党が負担する費用の中には税金から賄われる政党交付金からも支払われており、党の収入全体の7割を占めています。
つまり費用補填の多くを税金で賄っていることになります。また、個人負担と言いますが国会議員に限ってみても、その収入は歳費で全て税金から支払われていることを忘れてはなりません。
国会議員の自己負担分ですら税金が使われているということです。研修に参加した今井議員は「旅費についても、党の活動ですから、党からの支出と、参加者の相応の自己負担によって賄われています」と、公費は使っていないかのような発言をしていますが、公費を使って行われた事実は消えません。
楽しむために海外旅行に行きたいのであれば、個人で行けばよいし、写真の1枚や2枚で周りにとやかく言われたくないのであれば、それこそ国会議員を辞めて本当の自分のお金で行けばいい。そうすれば誰も批判はしません。
問題は、公費を使うだけの成果があったのか?
エッフェル塔の前で楽しそうにポーズを取る写真を見て、物価高など日々の生活が苦しい状況と比較すると、どうしても腹が立ってしまうというのが私たち国民の感覚ですが、SNSでのこのような写真は、一部の切り取られた瞬間だという認識も確かに必要です。
ただ「フランス旅行は誤解だ!」というのならば、公費を使って研修をした成果を参加者、少なくとも参加した国会議員がきちんと示して、誤解を解けばいい。
写真を取り下げて「誤解だ!」と言っても、ただ取り下げるのならば「それが研修旅行のすべて」と受け取られても仕方がありません。
「確かにこういう写真も撮りましたが、しかし○○の成果があり、こういったことを自民党内での政策提言や、次の国会の法案提出につなげられるので、38人で行く意味はありました」とSNSや公の場などで示せば、誤解も解けるはずです。
批判されて、「誤解を招いた!」「研修は有意義だった」といっても、「それはフランスに行って普段日本では見れないものを見て、おいしい食べ物を食べて、行った人はさぞ有意義だったでしょうね」と言われてしまいます。
このフランス研修が、公費を使った「自民党女性局での交流促進のための慰安旅行なのか、それとも成果の伴った研修なのか」は、次の国会での報告や、野党質問に対する答えで見えてくるでしょう。
私たちも、単なる一過性の話題に終わらせるのではなく、少なくとも次の国会まで覚えておいて、こういった研修が本当の研修なのか、それとも研修という名を借りた自民党女性局による単なる慰安旅行だったのかを見極める必要があります。
それで誤解だったのであれば、「研修なのだから、もう少し緊張感をもって」と言えばいいですし、単なる慰安旅行ならばこういう議員や政党は、批判されても、また時間がたてば同じことを繰り返すので、次の選挙で落とせばいい。
私たち国民が、自分たちが汗水たらして収めている税金の使われ方が適切なのか否かを、きちんと見なければならない一つの好事例と言えるでしょう。
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