保険金不正請求で渦中にあるビッグモーターの兼重宏行社長が、7月25日に記者会見を開きました。
ビッグモーター店舗
引用元:https://www.bigmotor.co.jp/guide/?id=432
そこで兼重社長は「新たな社長のもとで、二度とこのようなことを起こさないよう組織風土を改革し、再発防止に全社をあげて取り組んでもらいたい」と述べ、翌26日付で辞任するとしています。
この辞任自体は、問題に直接関係しているか否かにかかわらず、社長の責任としては当然のことですが、問題は社長や「他の経営陣は知らなかった」ということです。
これは大変な問題です。そこで、仮にこの不正を社長自身や経営陣が知らなかったら、何がそこまで問題なのか見ていきたいと思います。
不正を知らなかったら、ガバナンスが効いていない
兼重社長は、会見で社長自身が不正を認識したのは6月26日に第三者機関である、特別調査委員会の報告書を受けた時で「耳を疑った。がくぜんとした。その時に初めて現場に入って、よく見ておけばよかった」と話しました。
これは大きな問題で、仮に本当に知らなかったら会社の体制や実態を把握しきれておらず、経営陣としても社長としても「自分にその資質がない」と自ら告白しているようなものです。
ビッグモーターでの「車のタイヤやボディーを故意に破損」させて水増し請求するという不正は、全国にある33工場の全てで行われており、一部の社員が独断で行ったものとは考えられず、組織的に行われたものと考えざるを得ません。
これはビッグモーター内で事故修理に対し1台当たり14万円の収益ノルマが課されて、それを達成できないと、社員が厳しく問い詰められるといった組織的な圧力がかけられた結果、不正が横行するようになったと言われています。
なかには工場長の指示で、故意に車を傷つけて水増し請求をするという不正も行われていたので、経営陣や社長が知らなかったというのは、あまりに無責任であり、全国の工場すべてで不正が横行していたにもかかわらず、仮に全く知らなかったとなれば創業者とは思えない現場感覚の鈍さ、把握力の無さを疑います。
不正を知っていたのなら、組織的な犯罪
一方、全く知らないということは鵜呑みに出来ませんが、もし以前から知っていたのなら、全国のすべての工場で行われている不正を黙認した、あるいは容認したということになり、収益ノルマという圧力で社員を不正に加担させた犯罪行為を社長自ら取り仕切っていたということになります。
「知っていた、知らなかった」いずれにせよ、社長の責任としては大変大きな問題ですが、不正を社員に強要してで収益をあげるという、あるまじき会社の体制が明るみになりました。
今後は、経営陣や幹部の刑事告訴も検討
兼重社長は、会見で従業員が客の車に傷をつけた行為は許さないとして、刑事告訴も検討するとしていますが、社員ではなく、その不正を指示した工場長をはじめ経営幹部がまず刑事告訴の対象となって来るでしょう。
これで顧客のビッグモーターに対する信頼は地に落ちたので、会社を立て直すためには、社長だけでなく、現在の経営陣や会社幹部を一層するくらいの思い切った処置をとらない限り、信頼は取り戻せないでしょう。
私も個人的にこのような会社での修理依頼や車検、車を買うというのはお断りです。修理費や保険料を余計に払うハメになり、さらに適切な運転をしているのに、もし車の不具合で事故が起きたとしたら目も当てられません。
ですから、ビッグモーターは現在の会社幹部を一掃して、生まれ変わるくらいの覚悟で行動しないと、会社存続すら危ういでしょう。
まとめ
修理依頼の車体へ故意に傷をつけ、あるいは交換の必要のない部品を交換して修理費や保険請求を水増ししたり、さらに修理や車検も研修をほとんど受けていない社員を配置するなどの不正を繰り返していたビッグモーター。
今回の不正は内部告発で明るみになったとのことで、個人的には全く修理依頼や車検を依頼したことはないですし、この会社から車を買ったこともないですが、もし何らかの形で顧客になっていたらと考えるとゾッとします。
この内部告発がなかったら、今後も多くの人が損害を受け、車の不具合による事故で死者が出るという最悪の事態の可能性もあったので、この勇気ある告発を大切に扱うべきでしょう。
そして、現在の経営陣や会社幹部を一掃して、生まれ変わったビッグモーターになることを切に望みます。
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